2012年2月3日金曜日

車にモルトを飲ませよう——バイオ燃料としてのウイスキー(ザ・ジャーナル)

エジンバラネイピア大学のバイオ燃料研究センターから、ひとつのベンチャー企業が誕生した。
社名は「セルティック・リニューエイブルス」。
この会社が開発する自動車向けバイオ燃料は、なんとモルトウイスキーだという。

Whisky bio-fuel now a reality(ザ・ジャーナル)

Sighthill Campus first day after refurbishment exteriors
セルティック・リニューエイブルスの本社が置かれる、
エジンバラネイピア大学バイオ燃料研究センター
原油価格上昇や将来的に懸念される石油の枯渇、そして環境保護の観点から、バイオ燃料が注目されている。
なかでもブラジルで普及しているバイオエタノールは、その代表格として挙げられやすい。
しかし、現在使われているエタノールとガソリンの混合燃料はともかくとしても、将来石油が使えなくなった事態を考えると、エタノール100%の燃料でガソリンエンジン車を動かすのは難しい。
そこで、ガソリンの代替燃料として挙げられるのがバイオブタノールだ。
油よりも水に近いエタノールと異なり、ブタノールはそのままガソリンエンジンにも使いやすいと言われていることから、石油メジャーなども本格的な研究に入っている。
セルティック・リニューエイブルスはスコティッシュ・エンタープライズ社の助成の下、モルトウイスキーを利用してアルコールの一種であるブタノールを生成する技術の研究開発を行なっている。

「モルトを燃料として使うなんて、そんなもったいないことをするのか? 」
「決して安いものではないし、燃料と飲料、両方に使ったら需要も上がってさらに値段が上昇するだろう。そうしたら、産業として成り立たない」
そうした声もあるかもしれない。

だが、セルティック・リニューエイブルスが燃料として使うのは、ウイスキーの「くず」だ。
スコットランドの蒸留所からは年間1,600万リットルの商品化できないクオリティのウイスキーと使用済みグレーン50万トンが発生する。
「これらはバイオブタノール生成を開発するのに適した原料である」と同社創設者で大学バイオ燃料研究センターのマーティン・タングニー教授は語る。
また、エール(ビール)の「くず」を利用することも検討されており、これらのシステム完成が実現されれば、エネルギーの安全保障が担保されるでなく、CO2排出量を減らすこともできるという。

スコティッシュ・エンタープライズのレナ・ウィルソンCEOは「私たちが商業面でのアイディアを付加することにより、これを研究レベルから持続可能な産業へと変化させることができると思う。今後も、目的達成のために支援を続ける」とコメントした。

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