2012年3月19日月曜日

ディアジオ、ホセ・クエルボ買収へ追い込み(フィナンシャルタイムズ)

酒類コングロマリットのディアジオ(英)は、テキーラメーカーであるホセ・クエルボ(メキシコ)の買収交渉を昨年より進めてきた。
しかし現時点において、進展を見せていない。
ディアジオはホセ・クエルボのオーナーであるベックマン家に対して、強く回答を促している模様だ。

Diageo steps up pressure on Jose Cuervo(フィナンシャルタイムズ)

この交渉は遅くとも昨年5月には始まっていた。
当初、ベックマン家も売却に前向きであったという報道もあり、英投資銀行のバークレイ・キャピタルをアドバイザーに据え、ディアジオとの交渉に臨んでいた。
しかし、市場の一部には「ベックマンが生きている間にディアジオに買収されるとすれば、それは驚くべきことだ(ノムラ・インターナショナル イアン・シャクルトン氏)」との否定的な見解も存在する。

また、ディアジオは買収交渉以前に、ホセ・クエルボと販売契約を結んでいる。
この契約は来年6月に期限を迎え、ベックマン家が売却に応じなければ販売契約も更新しない意向だ。

もし、売上ナンバーワンのテキーラメーカーであるホセ・クエルボをディアジオが傘下に収めた場合、酒類業界に与えるインパクトは大きい。
競合するコングロマリットのペルノ・リカール(仏)は2005年にフォーチューン・ブランズ(米・当時、現ビーム)と連合を組みアライド・ドメックを買収した。
アライド・ドメックはテキーラ売上高ナンバーツーのサウザやラムのマリブなどを擁しており、この買収以後、ペルノとビームはディアジオを追撃する体制を整えている。
ディアジオがホセ・クエルボを傘下に収めれば、勢力図に再び変化が訪れることになるだろう。

また、日本国内の流通にも影響を及ぼすことが考えられる。
現在、ホセ・クエルボの日本代理店を務めるはアサヒビールだ。
一方ディアジオは、日本法人としてディアジオ・ジャパン、およびMHDモエ・ヘネシー・ディアジオを持つ。
ホセ・クエルボ買収後の両者の関係がどのようになるかは代理店契約の内容などにもよるが、2008年にはディアジオのコアブランドであるビール「ギネス」の代理店がサッポロビールからキリンビールに移管される、という出来事もあった。
ディアジオとサッポロの間に販売方針の乖離があったため、という話もあり、もし今回の買収が成立すればアサヒとディアジオの関係構築の行方に注目が集まる。

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