2013年1月19日土曜日

【用語解説】米国のラム助成金問題

 米領プエルトリコ自治区、同ヴァージン諸島(USVI)で生産されたラムを米本土に出荷する場合、一旦酒税が徴収されるものの、大部分が同地域に還流する。同地域の伝統あるラム生産を保護し、さらに再生産・再投資を促す、産業育成を目的とした措置。

 しかし2012年夏以降、西インド諸島ラム製造者協会とカリブ共同体がこの措置を関税障壁であるとし、WTO(世界貿易機関)に提訴する構えを見せている。また、米本土内のラム生産者もこれを不当とし対抗するため、アメリカンラム協会を創設した。2012年末〜翌年初頭に起こった米「財政の崖」問題の折には、同措置の期限延長がなされ、米メディアはこれに疑問を投げかける論調を見せた。

 プエルトリコで生産されるラムの代表的ブランドとして、「バカルディ」や「キャプテンモルガン」が挙げられる。これらは大企業によって生産され、カリブ・米本土のラム生産者は中小規模の蒸留所・企業中心であることが、この問題の背景にある。(ただし、プエルトリコ、USVIにも独立系、小規模の蒸留所は存在するし、カリブの蒸留所・メーカーも大手の流通網を用いて世界的な販売を行なっている)

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