2012年5月29日火曜日

ディアジオがカシャーサ・ブランドを買収(ビバレッジデイリー・ドットコム)

酒類コングロマリットのディアジオ(英)は28日、ブラジルのカシャーサ・ブランド「イピオカ」(写真)を買収すると発表した。
買収額は900万レアル(約3億6千万円)で今後、1ヶ月以内に現金にて株式を取得する見込み。

Diageo believes Brazilian buy will make it 'relevant' spirits player in country(ビバレッジデイリー・ドットコム)http://www.beveragedaily.com/Financial/Diageo-believes-Brazilian-buy-will-make-it-relevant-spirits-player-in-country

カシャーサはサトウキビを原料につくられるブラジルのスピリッツで、同国内の全てのスピリッツ出荷量80%を占める。
しかし、飲料品全体では6%の出荷量に留まっており、酒類の中ではビールがポピュラーなものとなっている。
それにも関わらずディアジオがイピオカの買収に踏み切ったのは、カシャーサというカテゴリーに未だ開拓の余地が残されていると判断したからだ。
「カシャーサは広告やプロモーションについて『アンダーインベステッド(投資不足)』なカテゴリーだ。イピオカのブランド構築をはじめとして、これらを実行していく」と中南米ディアジオのランディ・ミラン社長は説明する。

また、同国は近年の経済成長から中産階級の人口が増えており、それに伴い高級カテゴリーを中心としたスピリッツの需要増が見込まれる。
カシャーサでメジャーなブランドといえば「51」や「ピトゥ」が挙げられるが、その中でイピオカは8%のシェアに過ぎない(出荷数量ベース)。
しかし、売上高で見れば1億7,700万レアル(約70億円、2011年)を誇り、プレミアムカテゴリーではナンバー2の実績となる。

そして極めつけの理由となるのが、イピオカの持つ流通網だ。
イピオカは同国内に小売25万6千店とのネットワークを築いており、対して現在のディアジオは16万店に過ぎない。
また、イピオカの流通網は拠点であるセアラー州などブラジル北東部に中心だが、ディアジオがウオトカ(ウォッカ)「スミノフ」やウイスキー「ジョニーウォーカー」を販売しているのは、リオデジャネイロやサンパウロといった南東部が中心。
今回の買収でディアジオは、同国内に広範な流通網を得ることになる。

この点、中国・白酒ブランドである「水井坊(スイジンファン)」を買収したときと同じ状況と言える。
水井坊はシェア4位ではあるが、中国国内に相応の流通網を持つ。
一方、ディアジオは中国市場でペルノリカールの後塵を拝しており、挽回するには速やかな流通網の構築が求められた。
このような背景が、ディアジオを水井坊買収に踏み切らせたとされている。

今回の買収劇にペルノリカール、ビームら、ライバルがブラジル市場でどのような出方をするか、注目が集まる。


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