2013年1月20日日曜日

探検家シャクルトンのウイスキー、復元され南極へ(CBC)

 1908年、アーネスト・シャクルトンは自らが中心となった南極探検隊を結成、人類初の南極点到達を目指した。結果としては、当初の目標を達成できず、南極点到達もロアール・アムンセン(ノルウェー)が先んじることになったが、シャクルトンは未踏の地を探検したとして「ナイト」の称号を授与された。

 シャクルトンが南極を去る際、ベースキャンプの凍土下に5つの木箱を埋める。2つはブランデーが入った箱、残り3つは「マッキンレー」というブランド名の記された、スコッチ・ウイスキーが収められた箱(写真右上)だった。

 およそ100年の時を経た2010年、南極遺産トラスト(ニュージーランド、以下「AHT」)がこの箱を発見した、というニュースが世界中を駆け巡る。これに動かされたのがインドの富豪、ヴィジェイ・マリヤ氏だ。マリヤ氏が代表であるユナイテッドスピリッツはスコッチ・ブレンデッド・ウイスキー「ホワイト&マッカイ」を保有し、さらにその傘下にはマッキンレーが存在する(※)。マリヤ氏は自身のプライベートジェットで、南極にあったマッキンレーをスコットランドへと運ばせた。

 ホワイト&マッカイのリチャード・パターソン・マスターブレンダーは、マッキンレーの分析を始める。無論、21世紀にシャクルトンのウイスキーを再現するためだ。当時のマッキンレーのレシピは失われたというが、パターソン・マスターブレンダーは8週間の時を試行錯誤に費やし、当時のブレンドを復元した(写真左)。

 そして18日、南極にマッキンレーが帰ってきた。米空軍協力の下、パターソン・マスターブレンダーが再現したウイスキーは、ジョン・キー・ニュージーランド首相とともに、輸送機で南極に降り立った。ボトルの引渡セレモニーでAHTのリジー・ミーク・マネージャーは、マッキンレーを「美しい香り」と評した。

 2011年に復元したマッキンレーを販売した際には、収益の5%をAHTに寄付し、25万ポンド(約3600万円)を集めた。昨年10月には第2弾をリリースすることも決まり(今回南極に送られたボトルは、こちらだと思われる)、50万ポンドの活動資金が集まることを期待されている。

Shackleton's whisky returned to Antarctic hut(CBC)

※既報の通り、ユナイテッドスピリッツはディアジオ(英)に売却することが決定しているが、マリヤ氏は今後も代表に留まる。


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