2013年6月21日金曜日

中国、メキシコからのテキーラ輸入を緩和へ――貿易不均衡の解消図る(NWI他)

MEXICO-CHINA-JOINT STATEMENT
メキシコで行なわれた首脳会談での習・
中国国家主席とペニャ・ニエト・メキシ
コ大統領
 中国当局は19日、現状で規制下においているテキーラの輸入を緩和する方針を示した。これを受け、訪中していたエンリケ・マルティネス・メキシコ農務長官は「我々が成功へ向け進むと確信している」とコメントし、米国向けと比較して0.2%程度に留まっている中国向けテキーラ輸出を拡大することに、自信を見せた。

Mexico tequila market in China: drunk with promise(NWI)
Mexican food exports to China to reach 1 bln USD: minister(中華網・英語版)
http://www.china.org.cn/world/Off_the_Wire/2013-06/19/content_29168030.htm


 今回の決定は、今月初めに米州諸国を歴訪した習近平中国国家主席と、エンリケ・ペニャ・ニエト・メキシコ大統領との間で合意に至った、経済連携強化の方針によるもの。現在、両国間の貿易は、中国からメキシコへの物流が10に対して、メキシコから中国へは1と、不均衡状態になっている(ソース=NWIの記事)。中国にとっては現状を変革させることでメキシコ側から不満が起こることを避け、あるいは対中不信を解消する狙いがあるものと見られる。テキーラの他、豚肉やフルーツなどのメキシコ産食品を輸出し、メキシコ政府としては今後1年〜1年半で最低でも10億ドル(約970億円)まで対中輸出額を拡大したい考えだ。

 現在、テキーラの最大輸出先は米国で、1億6570万リットルと輸出量全体の8割を占める。一方、中国向けは41万250リットルに留まっており、新正月の贈答品、高級嗜好品として既に中国国内で一定の人気を得ているスコッチ・ウイスキーやコニャックに遅れをとった格好となっている。「我々は現地で人を雇用し、関税や食文化などの調査を行なう。その上で、どのように飲んでもらえれば良いのかを検討する(テキーラ・ブランド『パトロン』デーヴィッド・ロドリゲス・プロダクションディレクター)」と、生産者側も本腰を入れる構えだ。

 ただ、中国政府・共産党は国内経済について、輸出と海外からの投資に依存したこれまでの状況から、内需拡大による自立した経済体制への転換を目論む。米市場調査企業フロスト&サリバンのクリストファー・シャナハン氏は以下のコメントを、AP通信に寄せている。
「メキシコのテキーラ生産者は、中国への参入当初には物珍しさから一定の需要を得ることだろう。しかし、(長期的に見ると)国内生産を海外の競争から保護しようとする中国の政策とぶつかることがあるかもしれない」

 メキシコは昨年、政権交代が行なわれており、前政権でもテキーラの貿易について中国政府と合意に至りつつあったが、フェリペ・カルデロン前大統領が親チベット的姿勢を見せたため、破談となった経緯がある。


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