2013年3月3日日曜日

スコットランドで「水資源法」成立――ウイスキー業界は懸念表明(BBC)

 英スコットランド議会は2月27日、水資源法案を全会一致で可決した。同法はスコットランド域内の下水道ネットワーク保全や水不足時のスコティッシュウォーター(スコットランドの水道管理企業)が持つ権限について規定する。また企業が1日1000万リットル以上、水を採取することを制限しており、ウイスキー業界は生産に影響が出ることを懸念している。

Water resource laws passed by MSPs(BBC)
Whisky industry concern over proposed water limit(同)
http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-21643567

 スコッチ・ウイスキー協会のギャヴィン・ヒューイット会長は同法について「ウイスキー産業が制限対象から除外されなかったことは残念」としながら、以下の見方を示す。
「より残念に感じるのは、我々に対して意見が求められなかったことだ。蒸留所は常時、制限値ほどの取水をしているわけではないが、長期的観点では法律がどのように適用されていくかという懸念がある」

 ただ、業界との間で妥協案を模索する動きもある。野党・スコットランド保守党のメアリー・スキャンロン議員は、審議において「蒸留の工程は、取水してから2〜12時間のうちに、取水量の3分の2を水源に還元する。スコットランド政府は取水量よりむしろ、消費量を計測した方が良いのではないだろうか。それによってウイスキー産業の懸念も抑制できる」と提案した。これに政府のニコラ・スタージェン副首相(写真)は「スキャンロン議員の案を検討したい」とした上で、ウイスキー業界と協議していくことを明言した。

 世界的に水資源の危機が叫ばれ、スコッチ・ウイスキー産業においては需要拡大から原料自給が難しくなっている中で成立した、今回の法案。ウイスキー産業がただちに悪影響を受けることは考えづらいが、多くのスコットランド国民、事業者にとって、フェアで有益な妥結策を求めていくことは必要となりそうだ。


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